HEATH(X JAPAN)のベースと音作り|FJB-115H・Burny EB-95Xと公式映像で解説【ピック弾き・Ampeg】
更新日:2026-10-03 文:SILVER WOLF GUITARS 森 将大
※この記事にはプロモーション(サウンドハウス・Amazonへの広告リンク)が含まれます。
- HEATHのベースは、1990年代がBurny(フェルナンデス)のイーグル型(市販版は「EB-95X」)、2007年の再結成のあとがフェルナンデスのジャズベース型「FJB」(市販版は「FJB-115H」)。黒に白いライン2本の柄は、HEATHが考えたもの。アンプは再結成後がAmpeg。
- FJB-115Hは2009年から市販されたHEATHモデル。フェルナンデスは2024年に事業を停止し、2025年7月に破産手続に入ったため、これからは中古が中心。
- HEATHっぽい音は、ジャズベース型をピックで弾き、Ampeg系の太い低音で鳴らすのが基本。まずはプリアンプ(SansAmp)1台から。当店にはジャズベース型が3本ある。
X JAPANのベーシスト、HEATH。
1992年、TAIJIのあとを受けてX JAPANに加わり、2023年まで低音を支え続けました。ステージの外では物静かな人として知られ、黒に白いラインのベースを抱えて立つ姿を覚えている人も多いはずです。ソロでは「heath」の名前で歌い、『名探偵コナン』のエンディング曲も歌っています。
この記事では、中古ギター・ベース店を営んでいる私が、HEATHのベースと音作り、hideやPATAとのつながりを、公式映像と自作の図、当店の実機の写真でまとめました。いまHEATHっぽい音を出すなら何を買えばいいかも紹介します。
- HEATHがどんなベーシストだったか(年表・エピソードつき)
- 公式映像と、HEATHの名曲10選(ベース・作曲・歌)
- HEATHとつながる人たち(hide・PATA・I.N.A.・KIYOSHI)
- 本人のベース2本と、ジャズベース・スルーネックのしくみ
- 当店のジャズベース型とスルーネックの実機(写真と動画)
- 中古のHEATHモデルを買うときに見るところ7つ
- いま新品で揃えられる「HEATHっぽい音」の機材
HEATHってどんな人?
| 本名 | 森江 博(もりえ ひろし) |
|---|---|
| 生まれ | 1968年1月22日/兵庫県尼崎市 |
| 担当 | ベース(X JAPAN)、ボーカル(ソロ) |
| 主なバンド | X JAPAN、Dope HEADz、RATS、Lynx |
| 亡くなった日 | 2023年10月29日(55歳) |
X JAPANに入る前は、Paranoia、media youth(前身はSWEET DEATH)などのバンドで活動していました。のちにhide with Spread BeaverのギタリストになるKIYOSHIがいたmedia youthでは、バンドの名前を考えたのがHEATHだったと言われています。
22歳のころ、hideを通じてXのメンバーと出会います。1992年、ベースのTAIJIが抜けたXに、hideの誘いで加入。5月中旬に加入が決まり、8月24日にニューヨークのロックフェラー・センターで、HEATHの加入と、バンド名を「X JAPAN」に変えることが発表されました。
1997年の解散後は、ソロのheathのほか、PATAやI.N.A.とのDope HEADz、RATS、Lynxと、いくつものバンドで活動。2007年の再結成でX JAPANに戻り、2023年10月29日に55歳で亡くなるまで、X JAPANのベーシストでした。
人柄が分かるエピソード7つ
- 見つけたのはhide
HEATHをXに誘ったのはhideでした。TAIJIが抜けたあと、hideが声をかけ、HEATHはXの音合わせに呼ばれます。 - 音合わせは5曲
加入前の音合わせでは、「Standing Sex」「BLUE BLOOD」「ENDLESS RAIN」「Joker」「Sadistic Desire」の5曲をセッションしました。その場でまったく動じない、自然体の様子がメンバーに好かれたと伝えられています。 - 加入はニューヨークで発表
1992年8月24日、ニューヨークのロックフェラー・センターでの記者会見で、HEATHの加入と「X JAPAN」への改名が同時に発表されました。日本ではなく、アメリカでのお披露目です。 - ステージの外では物静か
ステージの外では、物静かな人として知られていました。一方でステージでは、ベースを壊す演出をしたこともあります。 - media youthの名付け親
Xに入る前に短いあいだいたmedia youthでは、バンド名を考えたのがHEATHだったと言われています。そのバンドのギタリストKIYOSHIは、のちにhide with Spread Beaverに加わりました。 - 「WRIGGLE」はHEATHのストックから
アルバム『DAHLIA』を作るとき、メンバー全員で曲を作ろうという考えから、HEATHが書きためていた曲を全部聴き、その中から選ばれたのが「WRIGGLE」です。演奏はPATA、打ち込みはHEATHが受け持ちました。 - 黒に白いライン
黒いボディに白いライン2本は、HEATHが考えた柄です。1990年代のイーグル型も、再結成後のジャズベース型も、この柄で知られています。のちには白や赤など、ほかの色のベースも使いました。
X JAPANのHEATH ── 公式映像で見る
HEATHが加わってからのX JAPANは、「Tears」「Rusty Nail」「DAHLIA」「Forever Love」と、大きなヒットを続けて出していきます。速い曲でも、バラードでも、低音の土台を作っていたのがHEATHです。
まずは1997年12月31日の解散ライブ「THE LAST LIVE」から「Rusty Nail」。HEATHが加入してから出たシングルで、Xとして初めてオリコン1位になった曲です。
X JAPAN「Rusty Nail」THE LAST LIVE(Yoshiki 公式チャンネル)
HEATHが加わってから出た、最初のシングル「Tears」。ゆったりしたバラードで、ベースが歌の下を静かに支えます。
X JAPAN「Tears」(Yoshiki 公式チャンネル)
X JAPANを代表するバラード「Forever Love」の公式ミュージックビデオ。
X JAPAN「Forever Love」公式ミュージックビデオ(Yoshiki 公式チャンネル)
そして再結成後のX JAPAN。2015年に配信された「Born To Be Free」を、2010年に日産スタジアムで初めて演奏したときの映像です(歌詞や編曲は、配信された版と一部違います)。
X JAPAN「Born To Be Free」日産スタジアム(Yoshiki 公式チャンネル)
※HEATHのソロの曲は、公式に埋め込みできる映像を確かめられなかったため、この記事には貼っていません。
HEATHがいたX JAPANの主なできごと
| 年月 | できごと |
|---|---|
| 1992年8月 | HEATHの加入と「X JAPAN」への改名を、ニューヨークで発表 |
| 1993年11月 | シングル「Tears」 |
| 1994年7月 | 「Rusty Nail」。Xとして初めてのオリコン1位シングル |
| 1996年 | 「DAHLIA」(1位)、「Forever Love」、11月にアルバム『DAHLIA』 |
| 1997年12月31日 | 東京ドームで解散ライブ「THE LAST LIVE」 |
| 2007年10月 | 再結成 |
| 2008年3月 | 再結成後はじめての東京ドーム公演(3日間) |
| 2014年10月11日 | ニューヨークのマディソン・スクエア・ガーデン公演 |
| 2017年3月4日 | ロンドンのウェンブリー・アリーナ公演(PATAの病気で1年延期したもの) |
解散から再結成、そして海外の大きな会場まで。X JAPANの後半の歴史は、ずっとHEATHのベースと一緒でした。
HEATHとつながる人たち
HEATHのまわりには、hideとかかわりの深い人たちがたくさんいます。図にまとめました。
Xに誘ったのはhide。Dope HEADzで組んだI.N.A.は、hideのソロの音を一緒に作ってきた人です。media youthで一緒だったKIYOSHIも、のちにhideのバンドに加わりました。hideの話はhideの記事、PATAの話はPATAの記事、KIYOSHIの話はKIYOSHIの記事にまとめています。
TAIJIとHEATH、X JAPANの2人のベーシスト
| TAIJI | HEATH | |
|---|---|---|
| いた時期 | 1986年の終わり〜1992年 | 1992年〜2023年 |
| メインのベース | Killer(インパルスほか) | イーグル型(市販版EB-95X)、ジャズベース型FJB(市販版FJB-115H) |
| Xで作曲した曲 | PHANTOM OF GUILT、Desperate Angel、Voiceless Screaming、DEAR LOSERほか | WRIGGLE |
| そのあとの活動 | LOUDNESS、D.T.Rなど | Dope HEADz、RATS、Lynxなど |
『BLUE BLOOD』『Jealousy』のころのベースはTAIJI、『DAHLIA』のころからはHEATH。X JAPANのアルバムを年代順に聴くと、2人のベースの違いが分かります。TAIJIの話はTAIJIの記事にまとめています。
HEATHの名曲10選(ベース・作曲・歌)
X JAPANの曲はほとんどがYOSHIKIの作曲ですが、HEATHが作った曲もあります。X JAPANのベース、HEATHが作った曲、ソロのheathの歌、Dope HEADzから10曲(枚)を選びました。
HEATHが加入してから出た、最初のシングル。ゆったりしたバラードで、ベースは歌をしっかり支える役目です。
Xとして初めてオリコン1位になったシングル。上の公式映像で、解散ライブの演奏が見られます。
速さと重さのある、HEATH期を代表する1曲。同じ年のアルバムの題名にもなりました。
X JAPANを代表するバラード。静かな曲ほど、ベースの一音一音が目立ちます。
X JAPANでHEATHが作曲した、ただ1つの曲。デジタルな音のインストで、演奏はPATA、打ち込みはHEATHです。ベースの演奏ではなく、HEATHの作曲と打ち込みが聴ける曲です。
ソロ名義のheathのシングル。アニメ『名探偵コナン』のエンディング曲で、HEATHが歌っています。
「迷宮のラヴァーズ」に続くソロのシングルです。
バンドで録った盤と、リミックスの盤の2枚組。HEATHが歌う、ソロらしさが詰まった1枚です(バンドの盤のベースは、別の人が弾いています)。
PATA、I.N.A.、ボーカルのJO:YAと組んだバンドの1作目。翌2002年に2作目『PLANET OF THE Dope』も出ています。
再結成後に配信された曲。上の公式映像で、2010年に日産スタジアムで初めて演奏したときの様子が見られます。
アルバムで聴くなら
CDはサウンドハウスでは扱いがないので、Amazonで探すのが早いです。
| アルバム | 発売 | ひとこと |
|---|---|---|
| DAHLIA(X JAPAN) | 1996年 | HEATH作のWRIGGLE。DAHLIA・Rusty Nailも(Forever Loveは歌と弦楽器だけの版) |
| heath(heath) | 1995年 | ソロ1作目 |
| Gang Age Cubist(heath) | 1998年 | バンド盤とリミックス盤の2枚組 |
| PRIMITIVE IMPULSE(Dope HEADz) | 2001年 | PATA・I.N.A.と |
| Desert Rain(heath) | 2006年 | 通信販売だけで出たアルバム |
| all of heath(heath) | 2024年 | ソロの全曲を集めた生産限定のセット |
ソロとバンド(heath・Dope HEADz・RATS・Lynx)
X JAPANの外での活動を表にまとめます。ソロでは小文字の「heath」、X JAPANでは大文字の「HEATH」と、名前を書き分けていました。
| 名前 | 年 | いっしょにやった人 | ひとこと |
|---|---|---|---|
| heath(ソロ) | 1995年〜 | — | 主に歌。「迷宮のラヴァーズ」『Gang Age Cubist』 |
| Dope HEADz | 2000年〜 | PATA、I.N.A.、JO:YA | アルバム2枚 |
| RATS | 2003年〜 | — | 解散後に組んだバンドのひとつ |
| Lynx | 2004年〜 | ISSAY(DER ZIBET) | 作品は出ていない |
ソロのheathでは、主に歌を担当しました。1995年のソロ1作目『heath』はCDとビデオのセットで、翌年の「迷宮のラヴァーズ」でアニメの主題歌も歌っています。2024年には、ソロの全曲を集めた『all of heath』が生産限定で出ています。
HEATHのベースの特徴3つ
① ピックで弾く、輪郭のはっきりした低音
HEATHは主にピックでベースを弾いていました(曲によっては指弾きやスラップも使っています)。ピックで弾くと、音の始まりが硬く、一音一音の粒がそろうので、ギター2本が速く刻むX JAPANのような曲に向いています。
② 見た目まで自分で決める
黒いボディに白いライン2本という柄は、HEATHが自分で考えたもの。イーグル型でもジャズベース型でも、この柄のベースがステージでの「HEATHのベース」の印でした。
③ 打ち込みも自分で作る
「WRIGGLE」では、演奏をPATAに任せ、HEATHは打ち込みを担当しました。ふだんから打ち込みで曲を作っていて、ベースを弾くだけでなく、機械を使った音作りもする人でした。
本人のベースと機材
HEATHのメインのベースは、時期で大きく2つの形に分かれます。どちらも、HEATHが考えた黒に白いラインの柄で知られています。本人のベースは特別に作られたもので、市販のHEATHモデルとは中身が違います。
| ベース | 時期 | どんなベース |
|---|---|---|
| イーグル型(EB-HEATH)/市販版 Burny EB-95X | 1993〜1997年ごろ | B.C.リッチのイーグルの形。本人用はコア材のボディとネック、セイモア・ダンカンのピックアップで特別に作られたもの。市販版のEB-95Xは、メイプルのスルーネックにマホガニーのボディ、24フレット |
| ジャズベース型FJB/市販版 Fernandes FJB-115H | 2007年の再結成後 | 再結成のときに作られたジャズベース型。市販版のFJB-115Hは2009年から。アルダーのボディ、メイプルのネックと指板、20フレット、セイモア・ダンカンのピックアップ、2ボリューム・1トーン |
| フェンダーのジャズベースなど | 録音 | 録音では、フェンダーのジャズベースをよく使っていた |
アンプ
1990年代はMesa/Boogie、再結成後はAmpegのSVT-CL(ヘッド)とSVT-810E(スピーカー8発のキャビネット)。Ampegはロックのベーシストの定番で、太くて押し出しの強い低音が出るアンプです。
※本人の機材は、Wikipedia(ムック『All about HEATH』を出典とするもの)とフェルナンデスの公式の資料で確かめた内容だけを書いています。エフェクターは確かめられませんでした。
ジャズベースとスルーネックのしくみ
ジャズベースのつまみ(FJB-115H)
FJB-115Hのもとになったジャズベースは、ピックアップが2つ、つまみが3つ。ピックアップごとのボリュームと、全体のトーンです。
当店のFGN NCJB-10R/ALで見る、ジャズベースのピックアップとつまみ(当店撮影)
2つのボリュームを両方上げると、太さと抜けのバランスがいい音。ネック側を少し下げるとブリッジ側の硬い音が前に出て、ピック弾きでは輪郭がさらにはっきりします。つまみが3つだけなので、ステージで迷いません。
スルーネックとボルトオン
イーグル型とジャズベース型は、ネックの付け方も違います。
スルーネック。当店のGreco GOBⅡの裏
ボルトオン。当店のFGN NCJB-10R/ALの裏
スルーネックは、ネックとボディの継ぎ目がないぶん、ハイポジションまで弾きやすく、音が長く伸びます。ボルトオンは、ネックをネジで留める作りで、音の立ち上がりが速く、ネックの交換や修理がしやすいのが利点です。HEATHは、時期によってこの2つを使い分けていたことになります。
ジャズベース型を選ぶときのコツ
HEATHモデルが見つからないときは、同じジャズベース型から選ぶのが近道です。ジャズベース型は、いちばん多く作られてきた形のひとつで、新品でも中古でも選ぶ幅があります。選ぶときは、次の3つを見てください。
- ネックの握りやすさ:ジャズベースはネックの付け根(ナット)のあたりが細めで、手の小さい人でも握りやすい形です。それでも太さはモデルで違うので、できれば実物を握って確かめます。
- 指板の色:FJB-115Hはメイプル(白っぽい木)の指板。ローズウッド(茶色い木)の指板より、少し明るく硬い音と言われます。見た目をHEATHに寄せるなら、黒いボディにメイプル指板です。
- ピックアップの雑音:ジャズベースのピックアップはシングルコイル。片方だけで鳴らすと「ジー」という雑音が出やすいので、ふだんは2つとも上げて使うのが基本です。
当店のジャズベース型とスルーネックを写真でじっくり
ここからは、いま当店にある実機です。写真はすべて当店で撮影したものです。HEATHモデルではありませんが、再結成後のHEATHと同じジャズベース型が3本と、1990年代のイーグル型と同じスルーネックの作りのベースが1本あります。
| FGN NCJB-10R/AL | GrassRoots G-JB-47R | BURNY BASS | Greco GOBⅡ | |
|---|---|---|---|---|
| 形 | ジャズベース型 | ジャズベース型 | ジャズベース型 | スルーネック |
| 色 | 黒 | 黒 | 3カラー・サンバースト | 赤茶の木目 |
| 指板 | ローズウッド | ローズウッド | メイプル | ローズウッド |
| ピックアップ | 2つ | 2つ | 2つ | 1つ |
| 重さ(実測) | 4.450kg | 4.420kg | 5.310kg | 3.965kg |
| HEATHの機材なら | FJBと同じ形・黒 | FJBと同じ形・黒 | EB-95Xと同じBurnyの名前 | イーグル型と同じスルーネックの作り |
FUJIGEN(FGN)Neo Classic NCJB-10R/AL(黒)

フジゲンのジャズベース型。アルダーのボディ、メイプルのネック、ローズウッドの指板という、ジャズベースの王道の組み合わせです。フレットを円弧状に打つフジゲン独自の「サークル・フレッティング・システム」で、音の立ち上がりがはっきりしています。黒いボディは、HEATHのFJB-115Hと同じ色です(白いラインはありません)。日本製です。


FGN NCJB-10R/AL(26A056・当店のYouTube)
GrassRoots G-JB-47R(黒)

ESPのグループのブランド、グラスルーツのジャズベース型です。アルダーのボディにハードメイプルのネック、ローズウッドの指板。ネックが少し薄めで握りやすく、はじめての1本にも向いています。ネック側とブリッジ側のボリューム、全体のトーンという、ジャズベースらしいつまみの並びです。


GrassRoots G-JB-47R(18A009・当店のYouTube)
Fernandes BURNY BASS(1970年代・3カラー・サンバースト)

フェルナンデスの初期にだけ見られる、筆記体のロゴの「BURNY BASS」。細かい年式は分かりませんが、1970年代のものと思われるジャズベース型です。HEATHのEB-95Xと同じBurnyの名前が入っています。アルダーのボディに、メイプルのネックと指板。古いぶん、フレットは約4割まで減っていて、次にすり合わせるときはフレット交換が必要です。実測5.310kgと重めです。


Greco GOBⅡ(スルーネック・1980年製)

グレコのオリジナル・ベース「GOBⅡ」。製造は富士弦楽器製造(いまのフジゲン)で、シリアルから1980年製です。「スピードウェイ・ネック」と名付けられた、メイプルにストライプを挟んだ5ピースのスルーネック。ネックがボディの端から端まで1本で通っていて、1990年代のHEATHのイーグル型と同じスルーネックの作りです(形は違います)。24フレット、ピックアップは1つ。ハードケースが付きます。


Greco GOBⅡ(26A067・当店のYouTube)
※4本とも中古品で、年式なりの傷や使用感があります。傷の場所は在庫ページの写真と説明に書いています。どれも当店で45-105の弦を張り、12フレットの弦高を4弦2.5mm・1弦2.0mmに調整しています。
中古のHEATHモデルを買うときに見るところ7つ
フェルナンデスが事業を止めたいま、HEATHモデルは中古で探すことになります。中古のベースを見るとき、店主として毎回確かめているところをまとめました。
黒に白いラインのベースはほかにもあります。FJB-115HならFERNANDES、EB-95XならBurnyのロゴと、型番を確かめましょう。
黒い塗装は、細かい擦り傷が光で目立ちやすい色です。白いラインの欠けや黄ばみも、写真で確かめます。正面から撮った写真では見えにくく、光が反射する角度でやっと見える傷もあるので、斜めから撮った写真があるかも見ておきましょう。

イーグルの形は角が長く、ぶつけやすい形です。角の先の塗装の欠けは、変わった形のベースでいちばんよく見る傷です。

ネックがまっすぐに調整できるか(トラスロッドに余裕があるか)、フレットがどのくらい残っているか。当店では、7フレットのすき間(0.3mm)、12フレットの弦高(4弦2.5mm・1弦2.0mm)、フレットの残り(%)を数字で書いています。

つまみを回したときの「ガリガリ」という雑音は、古いベースでよく起きます。電池で動く回路が付いたモデルなら、回路まで動くか、電池の端子が錆びていないかも確かめます。「音出し確認済み」だけでなく、つまみやスイッチを全部動かして確かめてあるかがポイントです。
ベースはギターより重く、4kgを超えるものも珍しくありません。同じ型番でも、木の重さで数百グラム違うことがあります。長く立って弾くなら、実測の重さが書いてあるかを見ておきましょう。
EB-95Xのような変わった形は、普通のベースのケースに入らないことがあります。専用のケースが付いているかで、買ったあとの出費が変わります。

当店の在庫ページでは、傷の場所・実測の重さ・ネックの数字・付属品を、写真と説明で確認できるようにしています。
いま揃える「HEATHっぽい音」
HEATHモデルのベースは中古で探すとして、音作りの機材は、いまの製品で同じ役割のものが手に入ります。つなぎ方の例はこうです。
最初の一歩はピックとプリアンプ。スタジオのアンプの前にプリアンプを置くだけで、ピック弾きの音に太さと押し出しが出ます。アンプは、自分の練習場所が決まってから選べば無駄がありません。
再結成後のHEATHが使ったAmpegのSVTは、真空管で動く大きなベースアンプで、ロックのベースの音の「お手本」のような存在です。多くのリハーサルスタジオに置いてあるので、まずはスタジオで鳴らしてみて、気に入ったら家用の小さなAmpegを、という順番がおすすめです。
ひとつずつ紹介
家で練習するなら
アンプを鳴らせない家でも、X JAPANのベースは練習できます。
練習する曲の順番の例
- Forever Love:ゆったりしたバラード。一音一音を長く、きれいに伸ばす練習に。
- Tears:これもゆっくりめ。歌に合わせて、音を置く場所を覚えます。
- Rusty Nail:速さが上がります。ピックのダウンとアップを、同じ強さでそろえる練習に。
- DAHLIA:さらに速く、重い曲。メトロノームでゆっくりから、少しずつ速さを上げていきます。
速い曲ほど、右手の力を抜くのがコツです。力むと音の粒がそろわず、すぐに腕が疲れてしまいます。
いまHEATHを聴く・知る
亡くなったあとも、HEATHの音と姿を残す作品が出ています。
『All about HEATH』(2024年10月23日・リットーミュージック)
HEATHを偲ぶムック。いろいろな時期の写真、使った機材の紹介、ベース・マガジンに載ったインタビュー、ベースの楽譜、ゆかりのあるミュージシャンのインタビューなどをまとめた1冊です。
『all of heath』(2024年10月23日)
ソロのheathの全曲を集めた、生産限定のセット。
追悼ライブ「heath the live」(2024年10月27日)
亡くなって1年の時期に、HEATHとゆかりのあるミュージシャンが集まって開かれました。
HEATHの情報はHEATHの公式サイト(heathproject.com)で確認してください。
用語ミニ辞典
この記事に出てきた言葉を、ベースを始めたばかりの人向けにまとめました。
- ジャズベース
- フェンダーが作ったベースの形。ピックアップ2つ、つまみ3つ。HEATHのFJB-115Hはこの形。
- イーグル
- アメリカのB.C.リッチが作った、角の長い変わった形。1990年代のHEATHのベースはこの形。
- スルーネック
- ネックがボディの端まで1本で通る作り。音が長く伸びる。
- ボルトオン
- ネックをボディにネジで留める作り。立ち上がりが速く、直しやすい。
- ピック弾き
- ピックで弦をはじく弾き方。硬く粒のそろった音になる。
- プリアンプ
- アンプの前で音を整え、太さや歪みを足す機材。
- 打ち込み
- コンピュータで作った演奏。HEATHは「WRIGGLE」で担当した。
- シグネチャーモデル
- アーティスト本人の名前を冠したモデル。HEATHならFJB-115HやEB-95X。
- トラスロッド
- ネックの中に入っている金属の棒。締めたり緩めたりして、ネックの反りを直す。
- 弦高
- 弦と指板のすき間の高さ。低いほど押さえやすいが、低すぎると音がビリつく。
X JAPANのメンバー
このブログでは、X JAPANのメンバーを1人ずつ取り上げていきます。記事ができたら、ここからリンクします。
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15人を一覧で比べる:アーティストモデル早見表(本人の機材と当店の在庫)
ほかの記事:PATA(X JAPAN)/TAIJI(X)/hide(X JAPAN)/KIYOSHI(hide with Spread Beaver)/SUGIZO(LUNA SEA・X JAPAN)/J(LUNA SEA)/Toshiya(DIR EN GREY)/tetsuya(L'Arc〜en〜Ciel)/ka-yu(Janne Da Arc)/GISHO(PENICILLIN)/ken(L'Arc〜en〜Ciel)/松本孝弘(B'z)/布袋寅泰(BOØWY)/KAZUMA(SIAM SHADE)
まとめ
HEATHは、hideに見いだされて1992年にX JAPANに加わり、黒に白いラインのベースで、2023年までX JAPANの低音を支えたベーシストです。ピックで弾く輪郭のはっきりした低音と、再結成後のAmpegの太い音。X JAPANで唯一作曲した「WRIGGLE」や、ソロで歌った「迷宮のラヴァーズ」にも、物静かなHEATHの別の顔が出ています。
HEATHモデルはもう新品では手に入りませんが、ジャズベース型のベースをピックで弾き、プリアンプとAmpeg系のアンプで鳴らせば、HEATHの音の骨組みはできます。まずはプリアンプ1台から始めてみてください。
ベースを探している方へ
当店では、ネック・弦高・オクターブを調整してからお送りしています。在庫はその時々で変わります。
弾かなくなったHEATHモデル、ありませんか?
当店はFJB-115HやEB-95XなどのHEATHモデルをはじめ、エレキギター・ベースを買い取っています。白いラインが擦れている、つまみにガリがある、といった状態でもご相談ください。
参考にした資料
- Wikipedia「HEATH」「X JAPAN」「DAHLIA (アルバム)」「Rusty Nail」「Tears (X JAPANの曲)」「Forever Love」「迷宮のラヴァーズ」
- 中日スポーツ「X JAPANのHEATHさん死去、55歳 22歳のときHIDEを通じて出会い1992年に加入」(2023年)
- リットーミュージック『All about HEATH』(2024年10月23日発売)の告知
- 「all of heath」発売の告知(2024年)
- 販売店のFERNANDES FJB-115H heath modelの仕様
- ITmedia NEWS「フェルナンデス」の事業停止・破産手続の記事(2024年7月・2025年7月)
- フェルナンデス 1996年カタログ(HEATHモデル)、フェルナンデス公式サイトのHEATHモデルのページ(アーカイブ)
- Wikipedia(英語版)「Heath (musician)」(『All about HEATH』を出典とする記述)
よくある質問
HEATHが使っていたベースは何ですか?
1990年代はBurny(フェルナンデス)のイーグル型(市販版は「EB-95X」)、2007年の再結成のあとはフェルナンデスのジャズベース型「FJB」(市販版は「FJB-115H」)がメインでした。黒いボディに白いライン2本の柄は、HEATHが考えたものです。アンプは1990年代がMesa/Boogie、再結成後はAmpegのSVTでした。
HEATHモデルのベースは買えますか?
FJB-115Hは2009年から市販されました。ただ、フェルナンデスは2024年に事業を停止し、2025年7月に破産手続に入ったため、新品は手に入りません。中古で探すことになります。
HEATHが作曲したX JAPANの曲は?
アルバム『DAHLIA』(1996年)の「WRIGGLE」です。作曲はHEATHとPATA、編曲はHEATH。X JAPANでHEATHが作曲した曲はこれだけです。
「迷宮のラヴァーズ」は誰が歌っていますか?
HEATHがソロのheathの名前で出したシングルで、1996年10月7日発売。アニメ『名探偵コナン』のエンディング曲で、HEATH本人が歌っています。
HEATHはどうやってX JAPANに入ったのですか?
hideの誘いです。TAIJIが抜けたあとの1992年に加入し、8月24日にニューヨークで、HEATHの加入と「X JAPAN」への改名が発表されました。
HEATHはピック弾きですか?
主にピックで弾いていました。ピックで弾くと音の始まりが硬く、粒がそろうので、X JAPANの速い曲に向いています。
HEATHっぽい音を出すには何を買えばいいですか?
ジャズベース型のベースをピックで弾き、プリアンプ(TECH21 SansAmp BASS DRIVER DI V2など)とAmpeg系のアンプで鳴らすのが基本です。まずはプリアンプ1台からがおすすめです。ジャズベース型は、当店の在庫にもあります。
HEATHの機材や写真をくわしく知るには?
2024年10月23日にリットーミュージックから出たムック『All about HEATH』に、いろいろな時期の写真や使った機材の紹介、インタビューがまとめられています。